日大問題が盛り上がっています(笑)神戸市教育委員会のいじめに関するメモの隠ぺい問題もひどい。森友・加計問題をはじめとして、みんながみんな隠ぺい隠ぺいのオンパレード。バレるぎりぎりまでは情報を隠しておいてバレても言い訳して粘る。言い訳できない事実を突きつけられたらようやく諦めて謝罪する。これはここ最近の悪いことをした時の対処法のスタンダードになっていしまいました(笑)全く恥ずかしい限りです。
以前メルマガでも取り上げましたが、人間というものはやはり“都合の悪いことは隠したい”生き物です。みなさんも重大ではない些細なことであれば隠しごとくらいしたことがあるのではないでしょうか。後はその隠した事実が、どのような類なことなのか、内容であるのか、そこは考えなければいけません。
まずは隠したことがプライベートのことなのか、仕事などに関係してくるものなのか、ここで分かれると思います。僕はプライベートのことは個人の勝手だと思っています。何かあっても自分とその周りの人たちで解決すればいい話。問題は仕事関係だった場合ですね。これは基本的にはアウトだと思います。仕事をしているということは社会的に責任を負うことになりますから、仕事で隠ぺいをして他人に迷惑をかければ、当然許されない問題に発展します。
前置きが長くなりましたが、今回のお話も“ばれない”ことに関係しております。「医原性疾患」という言葉を皆さんは聞いたことがありますか?書いて字のごとく、「医療が原因で引き起こされる疾患」です。実は医原性疾患は歯科ではかなり多い疾患なのです。
たとえば、次にあげるようなものがあります。
・詰めものの精度が悪いため、汚れが溜まりやすくなり、歯茎の炎症が取れない
・根っこの治療中に器具を奥まで入れすぎたために歯がダメージを受けて、それが原因で抜かざるを得なくなった
・かぶせ物の高さが合わないことにより、顎が痛くなった
これらはすべて歯医者がやった治療が原因であり、臨床ではよくあるとは言わないですが、そんなにまれなケースではありません。
今の70歳以上の方はこのような医原性疾患により歯が悪くなった人が多いと思います。入れ歯の人も多いこの世代の人たちは、純粋にむし歯や歯周病だけで歯がなくなり、入れ歯になったわけではありません。歯の治療の“まずさ”により、歯を抜く羽目になったケースも多いと予測されます。
昨今ではきちんとした説明の元、治療の多くが行われており、そのようなことは少なくなったと思いますが、一昔前は違います。説明もほとんどなく、歯医者のやりたい放題。治療を失敗したってその説明をすることはなく、もともと悪かったなどうまいことを言っていれば、その場で問題が起こることはなかったわけです。これはまさに隠ぺいであり冒頭に言いましたように“ばれない”ことが超重要なポイントなわけです。
歯医者という仕事をはじめて、これまでいろんな方の治療跡を見てきましたが、最初に感じたことは「こんな治療でいいの?」ということでした。人の口の中に入るのに、こんな精度のものでいいのか?こんな治療したら将来的に歯が持たないことは分かるでしょと言いたくなるような治療、口の中に入るものなのにあまりきれいじゃないよね今使っているその器具は、など僕としてはツッコミどころ満載の治療が常態化していました。
ただ開業して実際に経営に携わってくると、そのような状況がやむを得ない事情であることも分かってきました。その理由は簡単です。それは“もらうお金とかける労力”です。
歯の治療の大部分は健康保険で賄われています。今はインプラントなど自費治療もラインナップとしてありますが、一昔前は保険治療が主体だったと思います。とにかく保険治療というのは、最低限の機能を回復することを基本目的とした処置ですから、治療費が大変安い。当然病院に入るお金も患者単価で考えると非常に安い。病院としては何人診たかで売り上げが決まるわけです。
そのような中で十分に時間を取って、丁寧に処置を行うことは難しいため、どうしても、完ぺきを求める治療は難しく、満点どころか60点くらいの処置ができれば御の字であるというのが保険治療の現状だと思います。そのような背景もあり、歯科では医原性疾患が多くなってしまう訳です。
このような制度の下で歯の長持ちを目指すならばとにかく治療にならないようにすることが大切です。日本で歯の長持ちを達成するためにはむし歯や歯周病が原因となる歯の治療にならないように年を重ねていきましょう。治療になれば、医原性疾患によって最終的に歯を抜くという結末を迎えてしまうことも十二分にあり得るのです。
今回の話はいかがでしたでしょうか。最近は予防歯科という言葉も生まれ、メンテナンスで通う方も増えてきましたが、今回のような話を聞けば、もっとちゃんとやっておこうと思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。メンテナンスで歯医者に通うのも少し手間はかかりますが、治療をしてしまって、歯がどんどん悪くなっていくという状況になるよりは、ぜひきちんと歯医者でメンテナンスを受けるということを継続してもらいたいなと思います。
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