バンドフォーミングについて

なぜバンドが必要なのか?

バンドは大臼歯部に使われていますが、そもそもなぜ必要なのでしょうか?バンドの代わりにブラケットを使うことはできないのでしょうか。

ブラケットと比較した場合、バンドを選択する理由は二つです。

1、外れにくい

矯正装置は頻繁に外れると非常に困ります。外れにくいということは非常に大切なことです。

2、バンド同士を繋げた装置を作るため

バンド同士を繋げた装置は舌側(口蓋側)で弾線をろう着するので、バンドが第一選択になります。舌側(口蓋側)のみを接着する方法もありますが、一般的には頬側にワイヤーが通りますので、ブラケットではなくバンド一択となります。

バンドフォーミングの手順

1、セパレーション

バンドを試適、装着するにあたりセパレーションはが必要です。セパレーションなしでも多くのケースでバンドを入れることは可能ですが、隣在歯を押して動かしながら入れることになるのでバンドが綺麗なフォームを作れないことが多く、治療上のエラーの原因になります。歯間のスペースがきちんとある場合を除き、原則セパレーション後にバンドを入れるようにしましょう。

ただし乳歯列に限りセパレーションは要らないと考えます。6の遠心に7が未萌出で近心にEがある場合はセパレーションがなくても多くの場合で綺麗な形のバンドフォーミングが可能であると考えます。

セパレーション →約1週間後バンドセット という流れになります。

固定式装置を作る場合は 

セパレーション →約1週間後バンドフォーミングとピックアップ印象 → セット約1週間前にセパレーション → 固定式装置のセット

以上の流れになります。

2、バンドサイズの選択、バンドフォーミング

まずは口腔内の歯牙の大きさを確認しバンドサイズを選びます。この作業は最終的には慣れていけば最短で適切なバンドサイズを選ぶことができるようになると思います。通常咬合面観から歯の大きさををミラーで確認するので、ミラーに映った大きさを基準に試適する最初のサイズを選びます。

まず手でバンドを入れて、その後プッシャーを使用して適切な高さまでバンドを押し込んで行きます。ある程度入った段階でシーターを使用して最終位置までバンドを押し込んで行きます。バンドの最終位置は先生の好みによって異なってきますが、僕はシーターを使用せずにプッシャーで入る高さを推奨します。シーターで噛ませながらバンドを入れていくと最終的には若干金属を伸ばしながら入っていくことになるのでバンド装着時に余計な応力が残ったままになるのでこれも何かしらのエラーになると考えます。あまりガボガボもダメですが、応力が発生しない最小限のバンドサイズを選ぶことが重要です。最終的にはセメントで固定しますが、シーターで押し込めれるとことまで押し込むのではなく、プッシャーで適正な位置まで押し込むやり方が良いと考えます。

7番などにおいて遠心が明らかに余る場合は、金冠鋏やバーなどで遠心を除去、調整する必要があります。少しぐらいであれば

バンドフォーミングが難しい二つのケース

1、形が既成のバンドに適していない

歯頸部側の幅が広い山型の歯牙や大きな結節があるような歯牙はバンドフォーミングが非常にしづらくなります。完璧なフォーミングが難しいので、妥協点を見出しながら最適サイズのバンドでフォーミングをすることになります。

2、歯肉が被っている

歯肉が被っている場合は基本的にバンドフォーミングは無理ですが、遠心歯肉が少し被っている程度であれば歯肉を排除しながらバンドを挿入することができれば可能ですが。原則的にはDBをするか萌出を待ったり促したりするべきだと思います。

チューブ装着

プリウェルドタイプのものであればこの工程は不要になります。チューブの装着位置はハイト、アンギュレーションなど歯牙の位置そのものに関わる話で付与位置がダイレクトに治療結果に反映されます。そのため大変重要な工程になってきます。詳細は文章で説明するのは難しいですが、近遠心的にはど真ん中、ハイトは咬頭から3.5ミリを推奨します。

バンドセット

バンドのセットは試適の段階で決めた最終位置と全く同じ位置にバンドが来るようにセットしていきます。試適時とは違いセメントを盛ってバンドを押し込んでいくので試適時には見えていた部分が見えなかったり、セメントが固まることにより心理的ストレスにより操作が雑になってしまいがちですが、最初に決めた最終位置にセットができないとエラーの原因になりますので注意しましょう。

セメントの種類は化学重合型と光重合型があると思いますが、どちらも利点欠点があると思います。個人的には固めるタイミングはコントロールはできないですが、セメントの除去のしやすさから化学重合型をお勧めします。

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