歯のつめ物はどの材料が良い?保険と自費は何が違う?

一般歯科
Dental caries. Filling with dental composite photopolymer material using Rubber Dam. The concept of dental treatment in a dental clinic

そもそも「つめ物」って何?

患者Aさん
患者Aさん

歯医者に行って虫歯が見つかってしまった。虫歯を削ってつめ物を作ると言われたけど、どうやら保険の治療と自費の治療があるみたい。違いがよく分からないなあ。

つめ物とかぶせ物の違いについての参考記事 →

つめ物というとどのようなイメージを抱かれますか?僕の中では神経までいっていないむし歯を削った後に、穴になっているところを塞ぐものというイメージです。神経まで到達している場合は神経をとらなければなりませんが、その場合はかぶせ物になります。つめ物は部分的なもので自分の歯もある程度残って見えている状態、かぶせ物は上から覆うもので、自分の歯は見えなくなるという理解でよいと思います。今回はつめ物に限定して話を進めます。

補助金がある保険の治療と補助金がない自費治療

保険の治療というのは7割(8〜10割の人もいる)を国が補助してくれる治療です。

保険治療について詳しく知りたい方向けの参考記事 → https://silkun.net/insurance-treatment/

一方自費の治療は患者さんが全額負担します。病院が設定した金額を全額支払うということです。

そしてもう一つ重要なことは、保険の治療は国が定めた治療のみ行うことができ、自費治療は国が定めた治療以外も行うことができます。

保険治療か自費治療かを選ぶことは移動手段として電車と新幹線のどちらを選ぶのかということに似ています

保険の治療が電車移動、自費治療が新幹線ということになりますが、ポイントは電車より新幹線のが高額だということであり、同様に保険治療10割分より自費治療の方が高額であるということです。

交通機関を使って大阪から東京へ旅行に行くことになったとします。電車を使用して旅行をすると国から7割の補助が出るようです。新幹線を使用すると全額負担になるようです。電車と新幹線、あなたはどちらを選択しますか。保険治療か自費治療かを選ぶということはこのような選択を迫られているのと似ています。

自費治療を検討することもなく、保険治療を当たり前のように選択する患者さんが多い理由はここにあります。料金が安い治療には割引きがあって、料金が高い治療には割引きがないので、患者さんの負担という意味では自費治療は保険の治療の10倍くらいになるのです。

大阪から東京へ行く場合は多少高額でも新幹線を選択する人が多いと思います。しかし電車に乗った場合に国が7割の負担をしてくれるのであれば新幹線がいくら快適でも、電車を使用した場合の実質的な負担金額が新幹線の時より10分の1で済むなら、電車を選択す人も多くなるかもしれません。

自費治療と保険治療は具体的に何が違うのか

●自費治療では保険治療のラインナップにないものができる

分かりやすい例で言うと、インプラント、矯正がこれに該当します。仮にインプラントが保険でOKとなれば医療費が数倍に膨れ上がるので国が認めることはまずないと思います。矯正に関しても同様です。スウェーデンなどは矯正も無料でできるなどと聞いたことがありますが、日本で矯正治療が保険で認められることはないでしょう。3割負担でできるようになると医療費がとんでもないことになるでしょう。

●つめ物で保険のラインナップに入っていない材料

ここで保険外治療のつめ物のラインナップを考えます。大きく分けてゴールド、セラミック、ハイブリッド、ジルコニアの4種類になると思います。

ゴールドについては、いちばん分かりやすいですね。特徴は色は金だが、問題の起こりにくさ圧倒的にナンバーワンです。適度な柔らかさを持つため適合もよいし、咬む相手方の歯にとっても優しいし、割れない。銀歯みたいに溶けだすこともありません。とにかく色以外は最高だ!と覚えておいてください。

セラミックとハイブリッドは少し近いところもあります。というのもハイブリッドというのはセラミックにプラスチックがどれくらい混ざっているのかという材料です。プラスチックの割合も様々ですからいろいろな種類があります。セラミックは透明感があってとにかくなじむし、きれいだというのがいいところです。割れる可能性が他と比べたら少し高いかもしれません。咬む力が強そうな人の奥歯に使うのは注意が必要です。

ハイブリッドはセラミックにそん色ないくらいきれいでセラミックよりは割れにくいですが、擦り減りやすいという欠点があります。擦り減ると全体のかみ合わせのバランスが変わってしまいますが、実際に悪影響が出てくるのは目で見てわかるものではないし、マイナス要素がどこまであるのかは難しいところです。

ジルコニアは硬い材料で割れることは少ないですが、硬すぎると咬む相手側にとっては、擦り減る原因となってしまいます。色味はセラミックやハイブリッドには劣りますが、ただ人が見て色味が変だなということはないレベルのものだと思います。

●自費治療、保険治療のまとめ

保険内はラインナップが決まっていると言いました。自費はラインナップが決まっていません。ということは各病院によって料金ややり方が全く違ってくることも多くなってきます。あくまでも「傾向」として話を進めるしかないのが現状です。

保険内と自費というのは単なる材料の違いではなく、より時間をかけて精度の高い治療をしていこうという先生が多いように思えます。自分の技術をしっかり発揮するだけの時間をかけて、その代わりしっかりお金もいただくという考えが一般的だと思います。逆に材料だけの違いなんだということで、保険の治療と同じ労力で治療を行い料金設定をしてい先生もいるかもしれません。

保険内と自費の違いは「責任の重さ」ということも言えるかもしれません。保険の治療も人の体の一部をいじっているということで責任は重いと思いますが、安い保険治療より、高額なお金をいただく保険外治療ということになると責任を強く感じることが多いというのが実際のところだと思います。

保険と自費の違いについて述べてきましたが、これらの実態を頭に入れた上で、後は患者さんが何を思うのか、選択するのかということだと思います。物事には表と裏、光と影がありますからどれがいいという訳ではありません。価値観が多様化した現代だからこそ、何でもかんでも保険治療ではなく保険外治療というものを頭の隅っこでもよいので、置いて考えてもらいながら治療の選択をしてもらいたいなと思います。

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