保険治療とは何かさて今回のテーマは「保険治療とはなんぞや」です。このテーマはかなり重いですが皆さん頑張ってついてきてください(笑)自費治療との違いについては深く述べませんが、まずは保険ということについて深掘りしたいと思います。まずは保険という用語をきちんと理解する必要があります。教科書的には「偶然に発生する事故によって生じる財産上の損失に備えて、多数の者が金銭を出し合い、その資金によって事故が発生した者に金銭を給付するための制度」です。これは歴史を紐解けばわかりやすいです。かつて航海技術が発達した時代がありましたが、その頃から世界中を行き来することが可能になり、世界中で商品の取引が行われるようになりました。しかしながら航海技術が発達したと言っても、気候変動等によって難破することは多々起こるわけです。そこで最初に皆からお金を集めておき、船に事故があった関係者にはみんなから集めたお金を配分するという仕組みが生まれたわけです。それが保険の起源です。つまり保険というのは事故が起こってはじめてお金が下りるという仕組みです。医療保険に置き換えると、いつ事故=病気が起こるか分からないので、みんなでお金を出し合って、事故=病気が起こったらお金が下りますよという仕組みになります。ここで重要なのは「事故が起こってから」つまり「病気になってから」ということです。歯に関していうと、虫歯になってから、歯周病になってからはじめてお金が下ります。ここで立ち止まって考えるべきは歯の治療というのは元通りにならない治療だということです。つまり病気になってからお金が降りて(一般的には7割ですが)治療をしても、元には戻らないということです。お金が下りている時点で元どおりにならないことが決定です。車に例えると、事故をした後にお金は下りるけど、今使っている車を必ず直してくださいという感じですね。事故でどんなにぐちゃぐちゃになっても必ず今の車を直すように、そんなこと言われたら困りますよね?でも車と違って自分の歯は変えが効かないので、車に例えるとそのような状況です。しかしながらここ最近はトレンドが変わってきました。保険治療の中に「予防」という枠組みが出てきました。今までも歯医者でクリーニングを受けた方も多くいらっしゃると思いますが、あれは「治療」の枠組みの中で行われてきたことです。歯茎に炎症があると診断し、そのために汚れを取りましょうねという理屈です。まあかなり屁理屈ですが、国の法律解釈というのはそういうものが多いです。予防という枠組みが出てきたらもうそれは本来「保険」ではないですよね。保険の定義は事故が起きてからお金が下りるという順番ですから。予防で保険をやってしまうと事故が起きていないのにお金が下りることですから矛盾してきます。ただ厳密には「歯周病重症化予防治療」という名前がついていますから、なんとしても治療の枠組みに持っていきたい国の思惑が計れます。”予防なの治療なの?”今回誕生した菅政権は不妊治療の保険適応を打ち出していますが、不妊治療も同様に病気ではありません。医科においても生活習慣病を中心に予防がずっと注目を浴びている分野です。国民皆保険制度の今後の動向に注目していきましょう。
●保険外治療とは何ぞや??
保険外治療を知るために、まずは保険治療とは何かということを知らなければなりません。意外にきちんと理解できていない方も多いのではないかと思います。保険外治療と聞くとなんか高い治療かな?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、常に保険治療との比較が大切だと思います。
保険治療とは国が定めたルールに基づいて行われる治療です。国が定めたルールの下で行うのであれば、(多くの人は)3割の負担分で治療が受けれますよというものです。そして残りの7割は皆さんが納めた健康保険料が保険組合を通して病院にお金が支払われます。例えばむし歯の治療に1000円かかりました。患者さんは病院に300円払って、健康組合は700円病院に払う。そしたら病院は1000円お金をもらえるということです。正確にはちょっと違うところもありますが、何となくはそんなイメージです。
3割負担と言っても残りは結局は自分たちで出したお金で賄われていますから、実はそんなにはお得感はない訳です。逆に健康保険料を納めているから、できるだけ病院に行っとかないと損な気分になるという人もいるかもしれません。そうやって考えていくとみんなのお金で賄われている制度の治療というのは、その国の国民性で決まることに気づきます。
以前メルマガで申し上げた通り、日本は歯を大事にするお国柄ではありません。理由はここでは深く述べませんが、そのようなお国柄でみんなからお金を集めて、保険制度を作れば、保険料もそこまで高くないし、治療費もそれほどでもない制度が出来上がります。治療費が安ければ、治療のレベルもそれなりになります。
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