歯に対する価値観は日本とアメリカで全く違う
最近は海外に行く人も多くなってきました。それによって海外で歯科治療を受ける人も増えてきたので日本の歯医者とアメリカの歯医者はどうして違うのか?という質問を受けることもあります。一言で言うと…そりゃあもう全く違います。どちらが良いかという問いに答えるためにはその背景を知る必要があります。その辺りを紐解いていってみましょう。
まず、日本人が認識しなければならないことは、アメリカなどの多くの海外の国では”歯は超大事”という価値観があるということです。これは以前アメリカの元大統領トランプさんと日本の元首相の安倍さんをテレビで拝見した時に感じました。トランプさん、歯が綺麗ですよ。お金をかけている感じがします。安倍さん、…。前歯に日本の保険治療のかぶせ物が入っている気がします。健康保険の3割負担で5000円弱くらいでしょうか。ぜひ税金使ってもいいから10万円くらいでセラミックを入れてください、と言いたいです。
いわゆる”八重歯”に対する意識も違います。日本では一時期かわいいだなんてもてはやされましたが、アメリカでは「ドラキュラの歯」でかなりイメージが悪い。中国でさえ「トラの歯」なんて言われており、不幸を呼ぶ代名詞になっています。海外で八重歯出して笑っている姿は、日本で言うところの鼻毛出して笑っているのと同じくらいの感覚でしょうか。
このようにまずそもそも意識が違うということです。ただこれは文化の違いみたいのものですから、文化を変えてまで海外志向(歯が超重要)でいく必要があるのか?という意見は出てくると思います。しかしながら周りを見渡してください。ネット環境において、国境はなくなり、交通機関の発達、コストの低下とともにあなたの街にもジャンジャン外国人が流入してきています。英語を中心としたコミュニティが形成されて行き、世界が平たくなるのはまず間違いない。そのなかで日本においても歯並びの重要性は高まっていくでしょう。
医療保険制度や料金が全く違う
ここまでは主に「見た目」についてお話ししましたが、今度は「治療や処置」についてお話します。
治療についてまず押さえておかなければならないのは、日本では歯の治療も身体の治療と同じく税金を使っているということです。つまり健康保険を使って治療をするのが基本です。みんなからお金を集めておいて、何かあってもある程度は税金で支えあっていきましょうねということ。病院に行っても大金を払わなくてもいいのは安心ですね。歯医者に行って支払いが毎回1万円以上になるという状況であれば、みんな嫌になりますよね?
ではアメリカはどうなのか。アメリカには国主体の歯の健康保険制度はありません。歯に問題が出たら各自で対処してね、ということです。だから人によっては民間の保険会社と契約している人も多い。車の任意保険みたいな感覚でしょうか。そして、アメリカで歯が痛いから歯医者に行って、神経を取ろうとなったら10万円はくだりません。高すぎます。日本だと10割負担で7千円くらい(治療部位等によって多少の誤差はあります)です。
日本流、アメリカ流、それぞれの良いところ悪いところを理解しよう
ここまで聞くと、みなさんやっぱり日本って最高だなと思われたでしょうか。ところがどっこい、物事には表と裏、光が当たる部分があれば隠れたまんまになっている部分もあるわけです。
先ほどの神経を取る治療を例に考えてみましょう。日本では歯が痛くなって歯医者で神経を取れば7千円、アメリカでは10万円。当然歯医者に入るお金も日本では7千円、アメリカでは10万円。どうですか、みなさん。神経を取るという処置にそこまでの日本とアメリカで違いはない訳で、報酬はこの違い。日本の歯医者とアメリカの歯医者はどっちが頑張って治療してくれそうですか?
この辺りは結構有名な話で、ネットでも調べたら出てくる内容だと思います。日本の治療は大変安価なので時間や材料の制約というのがアメリカに比べてかなりあるわけです。例えるなら吉野家の牛丼(日本の保険治療)か三ツ星レストランのステーキ(アメリカの治療)かといったところです。ただし、吉野家の牛丼が悪いという訳ではありません。早くて安くてそこそこというのを望む人もいるでしょう。
ただこの状況で何がまずいのかというと、その辺りの状況を日本人の多くが知らないということです。近所に吉野家しかないからいつも吉野家に通っていて、高いけどおいしいステーキが置いている隣町にある三ツ星レストランの存在を知らないわけです。なかには多少高くてもうまいものを食いたい!と思う人もいるでしょうから、それを知らせておいて、「選択できる環境」を本来は作ってあげないといけないのです。
ただ今述べたようにみんながよく知らない状況になっている理由はあります。以前のメルマガ、また冒頭にも述べたように、いかんせん日本人が歯に対する優先順位が低いからこんなことになっているわけです。多くの人が「安くて早くて味もまあまあだし吉野家の牛丼でいいよ。」という状況の中、誰が三ツ星レストランの話をするのでしょうか?話題にも上りません。(誤解がないように、吉野家が悪いという訳ではありません、僕もたまに利用しますし)
日本の保険治療が悪く、アメリカの治療がよいという文面になったかもしれないですが、そういう訳ではありません。これは日本が弱者にやさしい文化であるということでもあるのです。お金がない人でも安く最低限の治療を受けさせてあげよう、当時制度を作った人たちはそう考えたのでしょう。逆にアメリカはその辺に人が倒れていてもすぐに救急車は来ませんよ。それなりの保険のライセンスを所持していないと、ほっておかれるわけです。日本じゃ考えられません。
日本にもアメリカにも良いところ悪いところはある。みなさんは何を重視しますか?お住まいの国の歯科事情をよく知ってもらって、後悔がない治療の選択をしてくださいね。
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