クリーニング前のチクチクする検査の正体とは?

患者さん
患者さん

歯医者にクリーニングに行った時に必ずチクチクされる検査があるけど、あれは何なんだろう。スタッフの方が「歯茎の検査をしますね」とよく言われるけど実際のところよく分かっていないんだよね。

先生
先生

これはきっと多くの人が疑問に思うかもしれません。これは二つの側面から見ていく必要があります。一つは医学的に必要があるからです。もう一つは医療保険上、法律上の問題と言っても良いかもしれません。

チクチクする検査は医学的に必要

チクチクする検査は歯茎の検査と言われますが、正確には歯茎と骨の距離を測る検査です。

ますます混同しそうですが、歯茎の下には骨があります。そして歯に沿った部分だけポケットになっていて細い器具を挿入することによって、骨が下がっていないか(溶けていないか)を確認することができます。

骨が下がっていると器具がより深い位置まで入るので、その部分は歯周病が進んでいることが疑われます。

ここで重要なポイントは、そのことが分かることによってどんないいことがあるのかということです。

それは歯周ポケット内をクリーニングをする際に、このくらいまでなら器具を入れてもいいなという目安になるということです。

もしこの検査がなかったらどうでしょうか。歯周ポケットが深くない場所を無理に汚れを取ろうとしたり、本当はもっと深い位置までクリーニングしなければならないのに、浅い位置にある汚れだけをクリーニングにより深い位置の汚れを取り残してしまうケースが出てきます。

そもそもプロフェッショナルなクリーニングというのは肉眼で確認できない汚れを取ることです。目で見える汚れは患者さん自身が歯磨きで取ることができますが、ポケット内にある目に見えない汚れは取ることができません。

チクチクする検査は保険制度上必要

定期的にクリーニングのために歯科医院に通っている人も多いと思います。そうした場合、毎回クリーニング前に同じことをされて、同じ結果しか出ないのに本当にやる必要があるのでしょうか?

そのように思っている人も少なくないのではないでしょうか。実際にほとんど歯茎に問題がない人はどうせ正常な値しか出ないので、実は医学的にはあまり意味はありません。

これはあくまで保険制度上必要なことなのです。

歯科の保険治療は法律=ルールに基づいて行われている制度です。治療を行う際には、国が定めた治療を行なっていかなければいけません。

そして治療を行う際に最も重要なことは治療を行う必要性をみんなに共有してもらうことです。これはみんなで集めたお金(税金)を使う場合に共通の話ですが、なぜそのお金を使う必要があったのかということをみんなが納得する理由が必要になってきます。税金を使用する場合は常に国民の納得感が大事になってきます。

繰り返しになりますが、検査はクリーニングする必要性がどこまであったのかを証明するために必要です。検査なしにクリーニングしてしまうと、本当にする必要があったのですか?実はする必要はなかったのではないですか?と言われれてしまうからです。

そういう意味で言うと、検査をしなくても歯茎の写真を撮って、証拠を残すというやり方も良いかもしれません。昨今のITの進歩により、写真を綺麗に撮って大量に保存をすることが簡単にできるようになりました。現在でも写真で記録に残すという方法は、保険治療の中で使用される場合があります。

まとめ

1、チクチクする検査はクリーニング前に、どれくらい深い位置までクリーニングしていった方が良いのかを知るために必要

2、チクチクする検査は保険治療=税金を使う治療なので、なぜ治療をする必要があったのかをきちんと説明できるようにしておくために必要

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