もう迷わない、正しい歯医者選びとは?

おもしろ話

さて今日のテーマは「歯医者選び」です。みなさんも気になるところだと思います。「どこに行ったらよいか分からない」という話はよく耳にします。

先に結論を申し上げますと、患者さんが良い歯医者を選ぶことは困難です。一見して良いか悪いかなんか分かるわけがありません。言うならば会ったこともない他人の中から良い人を選ぶわけですから分かるわけはありません。

僕もどの歯医者が良いのか友人から相談を受けることがありますが、「分からない」と答えます。だって本当に分からないんですから。
ただそう言ってしまうと元も子もないので、何となくの良い歯医者の傾向というものを探っていきましょう。

●若い先生が良い?ベテランの先生が良い?

一昔前は削ってなんぼの時代でした。もっと平たく言うと、削った方が儲かる時代でした。だから昔の歯医者は“むし歯はすぐ削る”という思考回路になっている人が多いでしょう。削った歯の将来なんて考えていません。歯を削れば様々な医原性疾患を引き起こします。(医原性疾患については以前メルマガで取り上げましたが、簡単に言うと治療が治療を呼ぶということです。)悪くなったら治療はしなければならないですが、歯の治療自体は百害あって一利なしです。

一方若い先生方は予防の思考回路が定着しています。削った後その歯がどうなっていくかも考える。長い目で見ると削ったら歯が悪くなっていくことをよく知っていますから、患者さんにもそのような説明をしてくれるでしょう。治療が終わってからもメンテナンスをちゃんと受けましょうという誘いもあるはずです。

この違いは大学教育が一番大きく影響しているのだと思います。昔は歯の予防という言葉はありませんでした。2000年頃から「予防歯科」という教育内容が徐々に始まっていきました。昔は患者さんもむし歯だらけの時代だったので昔の歯医者はむし歯ばかりが頭にあり、歯周病が何かをきちんと説明できない人もいるかもしれませんね。

ということで、歯の長持ちという目標を掲げるのであれば多少若い先生の方が良い気がします。一つの目安にはなると思います。

●検査が多い、説明が多い、は良い歯医者??

検査が多い歯医者は僕はよい歯医者と思っています。僕たちは見た目だけで診断することはほとんどできませんから、何となくで診断するより、念のためだとしても、レントゲンなどをきちんと撮ってくれる歯医者がいいような気がします。逆にパッと見ただけで治療方針をどんどん決めていく先生はちゃんと診断できているか怪しいですね。中には神様みたいな先生もいるかもしれませんが、僕も含め多くの先生は普通の人間ですから、検査ありきの診断が良いでしょう。

また説明が多い歯医者はどうか。説明というのは、病院にとっては「ただ」ですから、良い歯医者だと考えられます。儲けが発生するのは基本的には処置したとき。儲けがなくてもきちんと説明しようという気がなければ、懇切丁寧な説明などなかなかしてくれないと思います。細かく説明してくれる歯医者はよいと考えられます。

検査にしても、説明にしても、はしょった方がスピーディーには終わりますが、早さを求めるとろくなことはありません。時間がかかってもきっちりやってくれているなと思えるような歯医者が良いでしょう。

●高い治療を勧めてくるのは良い歯医者??

インプラントや自費のかぶせものなど、歯の治療には数十万するものも多いと思います。ただ基本的には値段なりで高い治療は良い治療であると思ってよいでしょう。保険の治療は正直安価すぎるので、よい治療が提供できるレベルまでもっていけないことも多々あります。

高い方が良い治療だとは思いますが、そうは言ってもその歯医者のレベルに寄りけりなので、ここは良い歯医者かどうかの見分けがつきにくいところです。少なくとも時間をかけて信頼関係を気づいた上で高額の治療を受けるべきだと考えます。

ということで高い治療を勧めてくる歯医者は良し悪しがかなり分かれるところですから、慎重に選択しましょう。

テーマごとに良い歯医者は何かを考えてきましたが、何個かの要素だけでよい歯医者を見つけるのは難しそうです。通っていくうちに何かをつかみ取るしかないですね。僕が思うに良い歯医者かどうかは“ほんとに困ったときに助けてくれる人なのかそれとも見捨てる人なのか”を見極めることだと思います。要は愛があるかどうかですね。その先生が、普段の言動や行動に愛があるかを注視してみてください。言動や行動から愛を感じることができたら良い歯医者だと思います。

今日のテーマはなかなか答えが出しにくいテーマでした。ただそれでも皆さんはどこかの歯医者を選択しなければなりません。ドクターショッピングとはいかないものの、歯石取り目的くらいで何軒か歯医者を回ってみてから、本命を決めるのもいいかもしれませんね。

なぜ歯医者選びに迷ってしまうのか

今回のテーマは「歯医者の選び方」ですが、患者さんにとって気になるテーマNo1になるかもしれません。特に最近はどこの歯医者が良いのだろう?迷う人が多くなってきているのはないでしょうか。なぜでしょうか。

それはネットが普及したために情報が増えてきたからです。情報が増えれば選択肢が増えます。人間というのは選択肢が増えていくと迷いが増強していきます。

例えば「喉が渇いたな、やっぱり暑い日は麦茶に限るな。」と思ったとします。そこでコンビニに行ってみると、麦茶以外に、緑茶、烏龍茶、爽健美茶、ルイボスティーまで置いてあるではありませんか。麦茶だけ置いてあれば迷いませんが、なんか色々置いてあると迷いが生じてしまいます。

コンビニより多いと言われている歯科医院。田舎においても車が普及していますし、誰もが自宅からアクセス可能な歯科医院が複数あると思います。

まずは自分の価値観の整理を

歯医者選びをする上でまず考えなければいけないのが“自分の価値観の位置付け”です。歯医者と言っても結局“人”を選ぶわけですから、実は結婚相手選びと一緒です。みなさんは結婚相手を選ぶときは何を重視しますか?

優しい、面白い、お金持ち、見た目がいい、色々あると思います。歯医者には何を求めますか?優しい、話をよく聞いてくれる、説明をよくしてくれる、短い時間で終わる、処置が丁寧、予約が取りやすい、これも色々あると思います。

歯医者選びというのは、その人の価値観によって選ぶ歯医者は変わってくるということです。「何を重視するか」を頭の中で整理し、自分の中で優先順位の高い特徴を持っている歯科医院はどこだろうと考えることが大切です。

ここで重要なのは「比較優位」です。比較の対義語は“絶対”ですが、よくありがちなのが歯科医院のダメなところを見つけて正解を見つけようとすることです。これこそ結婚相手を選ぶ時と同じです。完璧な人が存在しないのと同様に完璧な歯科医院は存在しません。現実社会というのはテストと違って100点なんて存在しませんから、あくまでも80点、60点でも良いかなという気持ちが大切です。

評判が良いかどうかと良い治療をしているかどうかは全く別問題

お店を経営している人間にとって「評判」というのは非常に大切です。やはり口コミというのは根強いので、歯科医院サイドとしても 良い治療<評判が上がる治療 を選択するケースは少なくないと思います。同業者と話をする中で「人気がある歯医者が必ずしも良い治療をしているわけじゃないよね」という話はよく出てきます。

ひどく雑な治療だったと患者さんが感じても、きちんとやることをやった処置であった可能性もありますし、丁寧にされたなと感じても、実は結果につながらない処置だったということはあると思います。

残念ですが、歯医者の治療のスキルの良し悪しは分からないということは念頭に置いてください。ここだけはある意味運任せになってしまうでしょう。もし歯科医が患者として治療を受けても、スキルはわからない思います。レントゲンや模型などから良し悪しを判断することは可能ですが、純粋に治療を受けた感触だけでその先生の技術を推測するのは困難です。

歯医者選びのアドバイスのまとめ

話をまとめます。良い歯医者選びというのは自分の価値観に合った歯科医院を探すことです。その上で歯医者選びの第一歩は自分の価値観の整理です。自分は何を重要視して選ぶのかをまずは決めましょう。その上で、何件か歯医者を受診して自分に合った歯医者を見つけるようにしましょう。最低3軒くらい回ると良いでしょう。多くても5軒くらいでそれ以上は労力に比して得るものが少なくなると思います。

評判には左右されないようにしましょう。明らかに対応が悪い、時間を全く守らない等で評判が悪いのであれば論外ですが、少し対応が悪いし、待ち時間が長いという病院でも治療はきちんと誠意を持っていしてくれていることであれば、そのような病院が自分の価値観とマッチしているという人もいると思います。評判に左右されずに自分の価値観に合った歯科医院を探してみてください。

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