インビザラインのクリンチェックの要点

矯正治療

アライナーのフォースシステムの特徴

アライナーの得意、不得意

得意な動き

傾斜移動、圧下、広げる動き(遠心移動)

不得意な動き→ATが必要な場合が多い

歯体移動、挺出

ATについて

着けるタイミングは患者さんが着脱に慣れてからが良いのでNo3くらいからが良い。

ATは挺出の時はいるが圧下の時は要らない。

歯体移動をする場合は必要

大臼歯をアップライトするときは必要

ATは必要最小限になるようにする。

多くついている場合のデメリット→アライナーが外れにくい、ATが外れて再着する確率が上がる

圧下する歯の反作用になる歯はアライナーが浮きやすいのでATが必要

歯軸に対して垂直的にATを入れた方が動きやすいし、読みやすい。

歯がユニットで動いている時、もしくは固定源となっている時はアタッチメントが不要なケースもある

AT 水平長方形 と垂直長方形の違い

<水平>

着脱しにくい

挺出active surfaceが広い

 <垂直>

着脱しやすい(水平ATより)

歯軸の角度

ローテーション

アップライト

上顎遠心移動について

上顎遠心移動はCTを見て上顎翼突縫合のところまで動かせる。その時の下顎の移動量次第でもある。

上顎遠心移動により最後方歯の清掃性が悪くなることに注意をしないといけない。

7から順番に1歯ずつ動かす。3も出来れば1歯で動かす方が安全。

6が傾斜しないように通常より動く量を少なくしたり、アライナー装着時間を長く取ったりした方が良いかも。

遠心移動の反作用に対しては上顎3と下顎6に顎間ゴムをかけて加強固定を行う。

3を遠心移動する際はアンフィットが起きやすいのでATが必要。

前歯を圧下する際に、圧下する方向に骨があるのかを確認する。

大臼歯のアタッチメント固定限にするためにアンチチッピング型のATを使用する場合もある。

叢生量も少なく、Deepbiteの抜歯症例はインビザラインでの難易度は高い。

前歯のトルクコントロールが出来ずバイトはどんどん深くなるし上顎前歯と下顎前歯がぶつかれば抜歯空隙閉鎖の際上顎臼歯は強く近心傾斜する可能性もあり。

前歯部反対咬合、叢生

まずは2−2を並べるスペースをきちんと作ることが大事。拡大がきちんとできていない段階で舌側から頬側2−2の多少のアンフィットはOK。フィットしすぎて骨が薄い頬側がリセッションしたりしないように注意。

舌側転位について(特に上2)

舌側転位している歯を頬側に出すときは圧下してスペースを空けて出していく。故にアンフィットになることはよくある。

抜歯ケース

歯を抜くタイミングはNo4以降が良い。歯が動いて動揺してくるので抜き易い

叢生改善目的の抜歯は比較的容易

リトラクション目的の抜歯は臼歯が近心傾斜しやすいので危険。

①歯冠の大きさ

→大きい方がアライナーで歯を掴みやすいため有利です。

②3番 6番の傾斜

→3番は近心傾斜している方が有利、6番は近心傾斜している方が不利です。

(抜歯空隙の閉鎖が傾斜移動によって行われる要素が強いため)

③臼歯の咬合

→緊密な方が有利です。

④6番の臼歯関係

→上顎の6番がどれだけ近心移動することが許容されるか否かの判断材料です。

⑤オーバーバイト

→DeepBiteの症例は難易度が高いです。

⑥前歯部の叢生量

→前歯部の叢生は3番の遠心移動時に強力な固定源となり得ます。前歯部叢生がない症例の方が難易度が高くなることもあります。

アンフィットの原因

患者さんが適切に使用できていない

歯の移動不全

反作用の力を大きく受けている。

挺出する歯のATが外れている。

歯の傾斜が強い場合はアンダーカットが強いためアンフィットが起こる

上顎2番、下顎5番は歯冠の解剖学形態によりアンフィットになりやすい。特に捻転の動きがある場合は注意。

その他

作用反作用をよく考える。例)7の遠心移動と同時に舌側転移している2を前方に送る、低位の3を挺出するのと同時に2を圧下する

叢生は固定源になる可能性がある。良い場合もあるが悪い場合もある。上顎前歯に叢生があって3を遠心移動させる場合は良い。抜歯症例の場合、上下の噛み合わせがロックしていると臼歯が近心傾斜しやすい。

歯肉切除は矯正終了後で良いがした方がアライナーをきちんとつかむことができる。

歯をどこまで動かせるかをCTで確認するが、皮質骨がきちんとあれば皮質骨と接するまで、皮質骨が薄い場合は0.5~1ミリ安全域を残す。

アライナーの出し入れのしやすさは大事。アライナーを出し入れする際にアンダーカットになっている(ATも含めて)歯牙から動かしていく。

バイトランプは過蓋咬合の時に必須ではない。そもそもアライナーをつけているだけで1ミリのバイトアップと同じ効果がある。1ミリで足らないくらいのバイトアップが必要な場合にのみ必要。例)旧支部の交叉咬合。

ディープバイトで前歯部圧下する場合は345にATを設置して反作用の力を受け止める。

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