フォロワー数が少ない理由を探ろう
今回のテーマは歯周病です。まずみなさんが抑えるべきは実は歯にまつわる病気は「むし歯」と「歯周病」しかないということです。だから予防と言ってもこの二つを予防すればいいだけ。超簡単です(笑)根っこの病気などは「むし歯」の範疇です。
●歯周病とは何か?
今回はちょっと不思議なタイトルですが、歯周病という病気は素人にはイメージしにくいので、どうすれば皆さんにイメージしやすく記憶に残りやすいかを考えてみました。人の記憶ってインパクトがないと全く残らない。歯周病をイメージしやすいことわざを見つけることができたら頭の片隅にでも記憶に残るのではないか、と思いましたので考えてみたいと思います。
僕の頭の中で歯周病とマッチングすることわざを検索した結果、“青天の霹靂”ということわざが検出されました。他にも“寝耳に水”とか“藪から棒”なんてことわざもいいかもしれません。青天の霹靂の意味を辞書で調べますと、“晴れ渡った空に突然起こる雷の意、急に起きる変動・大事件”という意味です。他の二つの言葉も似たような意味で「いきなり」というイメージです。
頭の中が?マークになっている方のためにもう少し説明を追加していきましょう。僕らが診療をしていてレントゲンや歯茎の検査の結果、歯周病という診断をすることがあります。そして当然その結果を患者さんに説明しますが、その時ほとんどの患者さんが同じことを言います。「え?そんなの聞いてないよ」と。特に状態が悪い方は「え?そんなに悪くなっているのなんて聞いてないよ」と。つまり、そんな病気なんて知らないし、いつの間にそんな病気になっているのかと患者さんは思っているのでしょう。
僕が歯周病を青天の霹靂とマッチさせたのは、患者さんからしてみれば、いやそんなの聞いていないですよと思う病気だということです。メンテナンスに通い続けていれば話は別ですが、久しぶりに歯科医院を訪ねたりするといきなり「あなたは歯周病ですねなんて言われたりします。患者さんからしてみればまさに“青天の霹靂”です。
以上のことを理解したら、歯周病の8割を理解したと言っても過言ではありません。まずはいきなりそういう診断をされる可能性がある病気だということを理解しましょう。
●なぜ“いきなり”なのか
なぜこのような事態になるのでしょう。理由は大きく分けて二つです。
一つ目は気づきにくい病気だから。歯周病は気づきにくい病気です。ほとんど痛みが出ないし、違和感を感じることも少ない。そして目に見えないものなので、自分で気づくのはほぼ不可能。患者さんが主観的に対処することが難しいということが、気づきにくい要因になっています。
二つ目は忘れたころにやって来るから。歯周病の症状は40才くらいから進むことが多いですが、40才という年齢が味噌です。
歯科的にはむし歯のトラブルが落ち着いてくるころ。年齢と共にむし歯のリスクは減っていきますが、リスクがある人は若いころにたくさん治療をしていますから、神経を取ってかぶせ物なんかを入れている歯は、かぶせ物はむし歯にならないし、残っている根っこの方もむし歯になったとしても痛くないから気づかない。
むし歯にならなかった人は、40年間むし歯で困らなかったために、当然自分の歯に自信がありますから、高を括って安心している。このようなところから、歯科的には歯のトラブルがいったん落ち着く時期と言えそうです。
人生的にも40才と言えば、超多忙な時期。肉体的にも精神的にもバランスよく脂がのっている時期。会社では一通りの仕事ができるためにいろんな仕事が回ってくる。家庭でも持っていれば子供の面倒も見なければならない。年老いた親もぼちぼち面倒を見なければならない。子供や自分のために貯蓄が必要、仕事をもっと頑張ろう。でもストレス発散する時間も作りたい。こんな時期に歯のことまで頭が回らない。
このような理由で歯のことが、最も頭から離れる時期と言っていいでしょう。そして同時に歯のケア、歯磨きもおろそかになっている時期と言ってもいいでしょう。
●歯周病の症状が進むとどうなるのか?
前述したように歯周病は進行してもすぐに痛みは出ません。痛みが出ないからいいのか?そんな訳はありません。ここで歯周病がいけていない病気の二番目のポイントがあります。(一番目は気づきにくいということ)それは病気が進行すると現状維持が難しくなるということです。
歯周病は汚れ(歯垢、プラーク)が原因で骨が溶ける病気です。骨の中に歯があり、骨の上に歯茎がのっかっている感じですが、骨が溶けると溶けたスペースに汚れが溜まりやすくなります。骨が溶けたスペースに入った汚れは取りにくいため、 取り残された汚れがまた骨を溶かしていくわけです。
つまり健康な人は普通レベルの歯磨きでも現状維持が可能ですが、歯周病になると現状維持のためにはプロレベルの歯磨きが求められるわけです。歯周病になるということは自分で歯磨きレベルのハードルを上げて行くことになるわけです。ちなみにこの考えはむし歯に関しても当てはまります。むし歯で治療した歯は治療していない歯より汚れが溜まりやすくなりますから、現状維持を目指すなら治療している人ほど高いレベルの歯磨きが求められます。
●歯周病にならないためにはどうすればいいのか
歯周病は青天の霹靂病ですからかなりの強敵です。気づきにくいものをどう気付くのか。結局「予防」という考えとぴったし重なってくる部分です。
まず一つは生まれてから、早い段階で歯には予防が必要だということに気づける環境にあるかどうか。親がそのことを知っているのか、近くの歯医者がそのことを教えてくれるのか、保育園、幼稚園、小中学校でそのような教育をうける環境になっているのか。このあたりが重要です。
次に重要なのが高校から30歳くらいまでにかけて、幼少期、児童期の教育が生かされるかどうか。遊びたい盛りに学んだことを実行できるかどうか。若い人は健康より楽しいこと重視です。
結局、「予防というのは教育の結果」であると言えます。小さいころは一人で生きていけるわけもないし、自分で気づいて行ってくださいと言うのは酷な話。大人の協力が不可欠であると同時に、大人がやってきたことの結果であるとも言えます。この辺の結論はいつも同じです。歯科医師を中心にみんなの地道な啓蒙活動が大事になってきますね。
もう歯周病になってしまったんだけど、どうすればいいの?というあなた。ここで少し朗報です。歯周病は定期的なメンテナンスを続けていれば、現状維持とはいかなくても病気の進行はかなり遅らせることができます。これは科学的なデータに基づいているわけではないですが、臨床をやっていると“あんまり持たないかなぁ”と思った歯も意外に長く持つこともあります。ぜひ諦めずにメンテナンスを続けていってほしいと思います。
歯周病に関しては掘り下げれば、まだまだ話すことはありますが、まずは今日お話しした内容が大事だと思います。というより、皆さんはプロではないですから、表面上の核心的な部分をきちんと理解すること、イメージできるようにすることが大切だと思います。まずは歯周病予防を目指すためのスタートラインに立ちましょう。
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