歯科衛生士と歯科助手の違いとは!?

歯学部学生向け
患者さん
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歯科衛生士と歯科助手って名前は聞いたことはあるけど、何が違うんだろう。歯科医院に行くと女の人を多く見かけるけど、いつもクリーニングをしてくれる人はどっちなんだろう

シルくん先生
シルくん先生

歯科衛生士と歯科助手は実は全く違う職種です。歯科衛生士は国家資格ですが、歯科助手というのは資格ではなく呼び名みたいなものです。その辺りを紐解いていきましょう。

歯科衛生士と歯科助手は全く違う職種

みなさんは二つの違いを説明できますか?おそらくきちんと説明できる人は少ないと思います。それは、世間の皆さんも勘違いをしてしまうほどのブラックな歴史が関係しています

結論から端的に言うと“資格があるかないか”です。歯科衛生士は国家資格です。一方、歯科助手は民間の資格はありますが基本的に資格は要りません。どんな人でも、歯科医院に入って仕事をすれば歯科助手です。歯科助手というのは単なる呼び方に過ぎない訳です。言葉自体に全く意味を持ちません。

歯科衛生士は国家資格です。一部の4年生大学もしくは専門学校に3年(昔は2年)通わなければなりません。

昨今歯の予防の重要性が市民権を得て、歯科衛生士への期待が増していますが、むし歯が流行っていた1980年頃は、歯科衛生士は不遇の時代を過ごしてきました。ライセンスを持ちながらも、ライセンスをもたない歯科助手とほぼ同等の扱いを受けてきた歴史があります。

歯科助手がクリーニングをするのは違法

歯科衛生士の専売特許はいわゆるクリーニングです。しかしながら、歯科医院においては歯科助手が当たり前のようにクリーニングをしていた事実があります。歯科助手がクリーニングをするということはライセンスを持っていない人がするわけで、まさに今この記事を読んでいるあなたがクリーニングをするということ同じことです。そのようなことが平気で行われている時代がありました。

実は驚くなかれ、平成が終わろうとしているこのご時世においても、まだ歯科助手に歯石取りをさせている歯科医院があると聞きます。そしてそのような違法行為をする歯科医院の院長がようやく逮捕されるような環境になって、今ではそのようなことをしている歯科医院はほとんどなくなりました。

歯科医院に何年も務めている歯科助手が、新しく入ってきた歯科衛生士より仕事ができるという状況はよくあったと思いますが、だからと言ってクリーニングをして良いということにはなりません。なにせライセンスが違う訳ですから。歯科衛生士と歯科助手というのは本来歯科医師と歯科衛生士くらいは違うのにそれが同一に扱われてきたという負の歴史があるわけです。

給与に関しても今でこそ、歯科衛生士と歯科助手で明確な差がありますが、かつてはほぼ同じくらいだったようです。安い労働力で、多くの仕事を任せて院長先生は院長室でごゆっくりという診療スタイルは、珍しい光景ではなかったようで、時代を感じます。

とにかく歯医者は歯科衛生士を大切にしてきませんでした。故に歯科衛生士の地位は上がるはずもなく、歯の予防が注目されるようになりようやく歯科衛生士は光を浴びるようになったわけです。

これからは歯科衛生士が主役!

そして昨今急速に歯の予防が市民権を得ることにより、歯科衛生士が大変重宝される職種となりました。しかしながら肝心の歯科衛生士は不足しています。ライセンスを持っていながら就職していない割合が6割くらいいると言われていますから、実質的に働いている数は思った以上にうんと少ない訳です。

この状況は歯科医院として非常に困るものですが、自業自得な面もあるのかなと思っています。先に申し上げたように歯医者は歯科衛生士を大事にしてこなかった、やってきたことが自分たちに還ってきているように思えます。若い歯科医師からするといい迷惑ですが、みんな自分が可愛いですから、自分たちが楽に儲かるような仕組みづくりに励むことは自然なことかもしれません。

予防の時代は良い時代です。治療の繰り返しの時代は悲惨です。悲惨な治療は大量に見てきました。歯の知識がなく、歯医者の言われるがまま治療を受けてきた団塊またはそれ以前の世代は、歯で苦労している人ばかりです。歯科衛生士に光が照らされ、輝ける時代が来れば同時にみんなの歯の健康が約束されます。

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