活動内容

一般歯科医のための矯正治療支援

歯科大を卒業後に歯科医師免許を取得後、なんとなく一般歯科の道に進む先生は多いと思います。一般歯科を学んだ後に矯正歯科をきちんと勉強したいという数多くの先生に出会ってきました。しかしながら矯正歯科と一般歯科は全く分野が違うために簡単に習得できるものではありませんし、矯正歯科を学ぶ環境が少ないということは事実です。当社ではそのような先生をサポートする取り組みを行なっております。

一般歯科医にとって矯正治療というのはハードルが高いものになります。マウスピース矯正なども世間を賑わせてはおりますが、安易に手を出すときちんと治らないケースも出てきますので慎重になる必要があります。

矯正治療は矯正専門医でも治すのが難しいケースがあり、どの症例が比較的優しいケースなのかを見極めて行う必要があります。当社では矯正歯科の基本的な診断と基本的な手技を習得してもらい、ワイヤー矯正、アライナー矯正の両方の治療ができるように支援をしています。

矯正治療をするための3つのステップアップ

診断の知識の習得

1、セファロ分析

セファロ分析は古くから存在する分析方法ですが、CTの登場を皮切りに加速度的にデジタル化が進んだ現在においても未だ主要の分析方法です。治療後の評価も含めて、基本的な評価指標をマスターしていただきます。

2、模型分析

現在は光学印象も広く普及してきましたので、従来の石膏ではなく画面上で診断する機会も増えてきました。模型上では口腔内では確認しにくい事項を確認して精度の高い診断を行なっていきます。

3、顎位の考え方

矯正治療前、中、後で顎位が変化することが多くあります。中心咬合位、中心位の基本的な概念を学び、矯正治療の中でどのように活かしていくかを学んでいきます。

4、抜歯、非抜歯の基準

抜歯非抜歯論争は矯正の世界でも長らく行われ、アライナー矯正が登場した現在において再び熱を帯び始めています。どちらが正解ということではなく、症例ごとに抜歯の要不要を考えていく必要があります。抜歯、非抜歯それぞれのメリットとデメリットを天秤にかけながら診断をしていきます。

5、総合的な診断

以上の基本的項目を勉強してもらった上で、総合的な診断をしていきます。総合的診断とは医学的な良し悪しではなく、患者さんの希望をどこまで取り入れるべきかという視点にも立って、診断をしていきます。

6、ワイヤー矯正とアライナー矯正の違い

ワイヤー矯正とアライナー矯正は歯並びを治すという目的は同じですが、手段は全く異なります。力のかかり方が全く違うので、歯の動き方も全く異なってきます。ワイヤー矯正とアライナー矯正の歯の動き方の特性をよく理解し、症例ごとにワイヤー矯正の向き不向き、アライナー矯正の向き不向きを考えていきます。

治療のための手技の獲得

1、バンドフォーミング

バンドは1期治療、二期治療の両方においてよく使用されます。大臼歯のコントロールはブラケットよりバンドの方が効率的であったり、固定装置を製作する際に有利な点が多いのがその理由です。バンドサイズの選択からチューブのポジショニングまでの一連の作業を習得する必要があります。

2、ダイレクトボンディング

DBS(ダイレクト)は矯正治療において最も重要な工程といっても良いでしょう。ブラケットポジションが治療結果に及ぼす影響は相当大きいので、適切な位置にDBができるように訓練が必要です。

3、結紮、連続結紮、パワーチェーン、8タイ、スレッド

上記4つは全てスペースの動きを閉じる力をかける手技、方法です。ブラケットがキャップタイプのものかそうでないのかによって手技が若干変わってきます。

結紮、連続結紮、パワーチェーンの3つはワイヤーが入った後に行うものです。8タイ、スレッドはワイヤーが入る前に行うものです。

4、ワイヤー出し入れ、シンチバック

ワイヤー矯正治療ではワイヤーを毎回変えて歯を動かしていきます。患者さんに痛みを引き起こすことがないようにワイヤーを出し入れして、シンチバック、チューブなどにより口腔内のトラブルを少なくしていく必要があります。

5、フック、オープンコイル、リンガルボタン

ワイヤーや歯牙に装置を装着して歯を動かすことがあります。治療の引き出しを増やすことで様々な症例に対応することができます。

6、ワイヤーベンディング

細いワイヤーではそのままワイヤーを使用しますが、ワイヤーが太くなるにつれてワイヤーのベンディングが必要になるケースがあります。特に治療の仕上げの段階では細かい歯の動きが必要になるので、ワイヤーを曲げる技術はあった方が良いでしょう。

知識と手技を臨床で応用

診断と手技の基本をマスターした上で、実際の臨床に入っていきます。実際に患者さんを持っていただき、実践しながら学んでいくステージになります。

やはり最初は簡単な症例から始めることをおすすめします。簡単なケースなのか難しいケースなのかの判断は、前述した診断の知識の習得により可能になります。